これまでの軌跡を何らかの形にと思い、「住宅展」を実現する運びとなりました。これもひとえに皆様のご支援の賜物と感謝の気持ちで一杯です。心より御礼申し上げます。
17年前、お世話になっておりましたNTT建築部を辞し、京都に帰り夢であった設計事務所を設立いたしました。
私は京都大学院時代、増田友也先生や田中喬先生、諸先輩方にアトリエで厚く設計の教えを受け、NTT建築部では大貫東彦氏に設計の手ほどきを受けることができました。
私にとって京都大学は設計思想の原点であり、NTT建築部は設計実務の原点であったと思います。
両者に共通していることは、古代ローマ時代の建築家ウィトルウィウスが述べているように、建築は美と用と強が大切であるいう事でした。すなわち建築は美しく使い易く、丈夫でなければならない、という当たり前の事でした。
言うは易く実現の難しいこの命題を何とか自分の力で乗り越えていきたいと、これまで夢中で事務所を運営して参りました。 住宅設計はあらゆる設計の中で最も難しく、究極の修練の場であると考えています。逆に言えば住宅の設計で繊細さやかけがえのなさを獲得できれば、どんな規模のどんな用途の建築でも十分に設計できることでしょう。
まだまだ開発途上の我々ですが、この住宅展を通してこれまでを見つめ直し、さらなる地平を模索していきたいと思っております。
これからも所員一同、切磋琢磨して参ります。