夫婦+娘2人+犬1匹という家族構成である。
建主からの主な要望として、広くて快適なリビング、娘達と一緒に料理を楽しめるキッチン、木のぬくもりを感じられる木造、の3点が挙がった。
敷地は京都市条例で山ろく型建造物修景地区に指定され、勾配屋根など、京都独特の和風表現が求められる地域である。この勾配屋根の制約を生かし、軸組の美しさを表現するため、天井を貼らずに、桁、梁をあらわにした化粧小屋組とした。木の力強さと飽きの来ない表情を持つ丸太を多用し、約40帖ほどの魅力的な木軸空間が生まれた。
この場をリビング、ダイニングにあて、生活の中心を2階とすることにした。
主要な柱は「日」の字に配置し、間取り変更の障害となる耐震壁を外壁周辺に限定した。
2階の南面は全面開口とし、外部につながる空間となるよう考えた。通常、耐震壁に開口が必要になる場合には筋交いを使うが、斜材では無骨である。そこで、見通しが良く開放感を妨げない格子壁(耐震壁倍率0.9)を採用し、空間の連続感を崩さないようにした。構造格子壁は夜には金色に輝き、木の美しさを内外に表出している。逆に建具は隠し框とし、極力必要のない線は排除している。
敷地面積:193.13㎡
建築面積:96.53㎡
延床面積:157.67㎡
構造:木造
規模:2階
photo:Shimomura photo office inc.