丸太町通の西端、愛宕街道沿いに面する敷地にある専門学校の教室棟の新築である。
生徒数の増加に対応すべく、少しでも多くの学びの場を確保すること、先生と生徒あるいは生徒同士のディスカッションを誘発する階段教室を設けること、が設計条件として提示された。
この敷地は、嵯峨嵐山という土地柄、風致の意匠的な制約が多い上に、敷地が計画道路に位置するため、構造や規模の規制も設けられていた。しかし、共用部をコンパクトに抑え、かつ、大スパンを飛ばす鉄骨フレームにして面積と高さを最大限に活用することで、各教室で計約140名を収容できるようにし、クライアントの要望に応えた。階段教室も、1Fのレベルを調整することで、日影や斜線等の高さ制限をかわしつつ、学びの場の新しいあり方を提示した。
外観は、白漆喰と杉板の下見板張りの外壁に銅板屋根を設けたものとし、古い街並みの一部として昔から佇んでいるかのように、伝統的な和風表現に徹した。しかし内装は、四季折々の表情を見せる嵯峨の山並みに呼応させて、春夏秋冬をテーマに各教室の床仕上げを施し、空間に変化を持たせている。
敷地面積:407.55㎡
建築面積:162.87㎡
延床面積:454.74㎡
構造:鉄骨造
規模:3階