敷地は、間口8mでL型をし、奥は東側境界線が真北より西向きに10対4の割合で振れた変則的な形状である。
周辺の住環境に溶け込ませ、変則敷地を生かした居住空間をいかに構成するかに留意した。
建物は大きく三つのブロックからなる。アプローチからユーティリティー、パブリック、プライベートの順番に並び、ブロック間には光や風を取り入れるため、疎水に沿って四季折々に変化する桜並木やツツジを見下ろせるルーフテラス、ケヤキのある中庭、光庭などオープンスペースを設け、2階レベルで内外二つのブリッジを繋ぎ、家族や来訪者が回遊しながら内界や外界を楽しめる。
間口の狭い慎ましやかな佇まい、その奥の豊かな生活は、「静」と「動」を使い分けてきた昔からの京都人の知恵であり、この精神を現代風に解釈し、京都でも最も閑「静」な住宅地にあって、町のマナーを守りつついかに内部で活「動」的な生活が営まれるよう仕掛けるかがテーマであった。
敷地面積:329㎡
建築面積:164㎡
延床面積:281㎡(車庫32㎡含む)
構造:RC造 一部S造
規模:2階